スポンサーリンク

体に痛みや不調が起こったとき、東洋医学では、痛みの部分だけではなく体全体を治療していきます。
例えば、肩こりや足のだるさなどが起こった場合でも、肩を揉むだけや、足に鍼をするだけでなく、全身を整えていくのです。
なぜそんなことをするのでしょうか。
それは体の一部の不調に見える場合でも、実は全身の問題となっているからなのです。
体を動かすエネルギーである「正気(せいき)」を中心に見ていくと、そのことがはっきりと分かります。
痛みや不調は体全体の問題なのです
体の不調には内臓も関係しています
体のどこかで痛みや不調が起こると、その部分だけの問題だと思ってしまいがちです。
例えば、肩こりが起こったら「重い荷物を肩にかけていたから」とか、足がだるいとき「昨日歩きすぎたから」といった具合です。
確かにこれらも原因の一部ですが、それだけではありません。
実は、不調の部分と関係をもつ内臓にも問題があるのです。
どういうことかと言うと、
まず、体のそれぞれの部分は、体を動かすエネルギーである正気(せいき:私たちの体を動かすエネルギー)を使って正しく動いています。
そして正気は、内臓から経絡(けいらく:経絡とはどんなもの 経絡は何に使われるのですか)を通って、全身へ送られているのです。
つまり内臓の働きが悪くなると、体の各部分に正気がやってこなくなり、いろいろな不調が引き起こされるのです。
一つ例を挙げてみます。
よく見られる膝の痛みですが、これは消化器とも関係があるのです。まずは消化器の経絡を見てみましょう。
この図は脾経(ひけい)と呼ばれる経絡です。足の親指から起こり、足を上って胃などの消化器につながっています。(図は体表を通るルートを示しています。実際は途中から別ルートが体の中に入り、消化器とつながっています。)
脾経は膝の内側を通ります。ここはよく痛みが出てくるところです。この部分の正気は、消化器から脾経を通ってやってくるのです。
もし消化器の働きが悪くなると、脾経を通る正気の量が減り、膝の内側の正気が少なくなります。
こういった状態で、「歩きすぎる」「無理な体勢で膝を曲げる」などを行うと、それが引き金となり痛みが出てくるのです。
同じように重いものをもったり、歩きすぎたりしても、辛さが出る時とそうでない時があります。その背景には、痛みの部分と関係する内臓が、正しく動いているか、そうでないかの違いがあるのです。
このように、体で起こる痛みや不調は、多くの場合、内臓と関係があるのです。
(注:怪我などの外傷の場合はこの限りではなく、その部分だけの問題となります。ただし外傷でも時間が経つと、内臓へと影響が及びます。)
ある内臓の働きが悪くなると、他の部分にも影響が及びます
体のどこかに不調が起こるとき、その部分と関係する内臓の働きが悪くなっていることが分かってきました。
でもこれは、その内臓だけの問題では収まらないのです。
なぜならば、体は正気を分け合って動いているからです。(詳しくはこちらをご覧下さい 体はエネルギー(正気)を分け合って動いています)
ある内臓の働きが悪くなるということは、その内臓の正気が少なくなっているということです。すると足りない分を補うために、全身から正気がその内臓へと移動します。
それによって他の内臓などの正気が少なくなるのです。
つまり、ある内臓の働きが悪くなると、他の部分の正気も少なくなるのです。
体全体の問題となっています
このように見ていくと、体のどこかの痛みや不調が、全身の問題であることが分かってきます。
主に症状が出てくるのは、痛みなどを感じている部分ですが、実際はその部分につながっている内臓の正気も少なくなっています。
そしてその内臓へ正気が移動するために、他の部分の正気も不足しがちになっているのです。
痛みや不調が出るのは一部分ですが、実際には全身の正気が少なくなっていて、本来の働きを発揮できなくなっているのです。
どうやって体を整えればよいでしょうか
このように痛みや不調は、その部分だけでなく全身の問題となっています。ではどのようにして体を整えればよいでしょうか。
治療を受ける時には
東洋医学の治療をうける場合は、全身の調整となっているかに気をつけましょう。なぜならば、調子の悪いところだけの調整では不十分だからです。
確かに、痛みや不調の部分や、それと関係する内臓を調整すると、これらの正気が増えるので、一時的に痛みなどはましになります。
ですが、このままでは他の部分の正気が不足したままなので、しばらくすると痛みの部分から他の部分に正気が移動してしまい、また調子が悪くなるのです。
例えば、肩こりで肩をしっかり揉んでもらっても、楽になるのはその時だけで、すぐに元に戻るといった場合などです。
これは全身の調整をしていないために、肩に増えた正気が他の部分に移動していって、また辛さが出てきているのです。
逆に、調子の悪い部分だけの治療でも十分効果があることもあります。その場合は体の中の正気に余裕があるということになります。
若い方や、生まれつき丈夫な方などで見られます。
ただこういった方でも、年齢を重ねるにつれて正気の量は少なくなりますので、部分だけの治療では段々と効果が薄れていきます。
このような背景から、治療を受けるときは、全身の調整をするのがよいと思います。
(注:怪我や大きな病気で不調が起こっている場合は、西洋医学の検査や処置を受けながら、東洋医学の治療を併用していきます。)
日々の生活でできることは
日常生活で気をつけることは、全身の正気を増やしておくことと、正気の無駄遣いをしないことです。
次のようなことに気をつけます。
- 正気を多く含むものを食べる(食事についてはこちらを参考にして下さい エネルギー(正気)を増やす食事とは)
- 食事の量を適切に、ダラダラ食べ続けないようにする
- 体に負担をかけないようにする
- 何ごともやり過ぎないように
(こちらの投稿「体の不調の原因は一つではないのです」の後半「痛みや不調を防ぐためには」にも書いていますので、参考にして下さい。)
日頃から正気を体に蓄えるようにしていくことで、痛みや不調は出にくくなりますし、治療の効果も高くなります。
まとめ
東洋医学では、なぜ調子の悪いところだけではなく全身へ治療していくのかについて見てきました。
- どこかに痛みや不調がでるときは、その部分だけでなく、全身の正気が不足しがちになっている
- 治療は全身を調整するのがよい
- 正気を増やすことと、無駄遣いしないことが大切
体のどこかの調子が悪くなると、その部分だけを意識してしまいますが、実際は全身の問題となっているのです。
そして治療としては、体全体を整えていくのが適当となります。
このため、東洋医学ではどのような症状でも全身を治療していくのです。
この記事がなにかの参考になりましたら、投票をお願いいたします。
この記事もよく読まれています
スポンサーリンク