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みなさんは「肩こりの原因」というと、どのようなことを思い浮かべるでしょうか。
- 重いものを持った
- 姿勢が悪い
- 血行が悪い
これらは肩こりの原因とよく言われています。でも東洋医学から見てみると、ちょっと意外な原因が見えてくるのです。
- 胃腸の疲れ
- 心臓の疲れ
- 肺の疲れ
「肩こりに胃腸や心臓が関係するなんて…」と思われるかもしれません。でも実は大きな関係があるのです。
まず、肩こりがどうして起こるのか見てみましょう
肩こりが起こると、体の中ではどんなことが起こっているのでしょうか。
肩こり=肩の筋肉が硬くなる
肩の筋肉が硬くなって、重さやだるさが出てくるのです。
ではどうしてこのようなことが起こるのでしょうか。これについては多くの考えがありますが、そのうちの一つに次のようなものがあります。
肩のまわりの骨の動きが悪くなって、肩の筋肉を引っ張る
肩のまわりには「鎖骨」「肩甲骨」という骨があります。
鎖骨から起こる肩こり
鎖骨は胸のまん中(首のすぐ下)から肩の関節に向かって斜めに走る骨です。鎖骨のまわりの筋肉が硬くなると鎖骨の動きが悪くなって、肩こりにつながるのです。
ですので鎖骨まわりの筋肉を緩めると肩こりは楽になります。試しにちょっとやってみましょう。
まず肩を上げ下げしたり、肩を回してみて、どちらかの肩のこりを確認して下さい。次に確認した方の鎖骨に反対側の手をおいて、鎖骨の上に人差し指、下に中指が当たるようします。人差し指と中指で鎖骨を挟むような感じです。
図では中指が服の上からあたっていますが、肌に直接つけた方がよいと思います。
そして指が離れないように気をつけながらそのまま左右に10〜20回さすって下さい。終わったらもう一度肩を上げ下げしてこりを確認してみます。最初より少し軽くなっているのではないでしょうか。
このように鎖骨のまわりの筋肉を緩めて、動きを良くしてあげると、肩こりを解消することができるのです。
肩甲骨も関係する
肩甲骨は背中の上の方、肩と背骨の間にある三角形の骨です。
肩甲骨には多くの筋肉がついています。これらが硬くなると肩甲骨の動きが悪くなり、肩こりにつながります。
肩こり解消の体操にはいろいろな種類がありますが、その多くは肩甲骨を動かすもののようです。両手を上げ下げしたり、肩を閉じたり開いたりする動作が多いですが、実際にやってみると肩甲骨を動かしていることが分かります。
また、最近よく注目される体操として「肩甲骨はがし」と呼ばれるものもあり、肩こりと肩甲骨の関係が深いことが分かります。
肩こりが酷い人や、姿勢が普段悪い人などの特徴として、肩甲骨周りが非常に凝り固まっているということがあります。
この肩甲骨周りの凝りをほぐすストレッチのことを、肩甲骨はがしといいます。
肩甲骨の動きを良くすると肩こりを解消できる、ということは、肩こりの原因として肩甲骨の動きの悪さがあるということになると思います。
このように見ていくと、
肩こりの原因=鎖骨や肩甲骨の動きの悪さ
ということが分かってきます。
肩こりの隠れた原因
ではどうして鎖骨や肩甲骨の動きが悪くなるのでしょうか。
よく言われている、「姿勢の悪さ」や「血行の悪さ」も原因の一つでしょう。でもパソコン仕事のように、同じような環境や姿勢で仕事をしていても、肩こりになる人とならない人がいます。そこにはどんな違いがあるのでしょうか。
東洋医学で見ていくと、普段は気がつかない隠れた原因が見えてきます。それが最初にお伝えした
- 胃腸の疲れ
- 心臓の疲れ
- 肺の疲れ
の3つなのです。
胃腸の疲れで起こる肩こり
ここまで見てきたことを少しまとめてみたいと思います。
- 肩こりには鎖骨と肩甲骨が関係する
- 鎖骨や肩甲骨の動きを悪くするものが、肩こりの原因となる
- 東洋医学で見ると「胃腸の疲れ・心臓の疲れ・肺の疲れ」が、鎖骨や肩甲骨の動きと関係する
「胃腸の疲れ・心臓の疲れ・肺の疲れ」の3つのうち、この記事では一つ目の「胃腸の疲れ」について見ていきたいと思います。その説明のため「経絡(けいらく)」という東洋医学の考え方を紹介していきます。
経絡とは
経絡は全身をめぐるルートです。胃腸や心臓などの内臓から起こってそれぞれのルートを通ります。
内臓と経絡は親子のような関係で、親である内臓が疲れると、子供である経絡の流れが悪くなります。するとそのルートに沿って筋肉が硬くなったり、皮膚が荒れたりしてきます。
- 経絡は体をめぐるルート
- 経絡は親である内臓(胃腸や心臓など)から起こる
- 内臓が疲れると、経絡のルートに沿って筋肉が硬くなったり、皮膚が荒れたりする
つまり胃腸などの内臓が疲れていると、そのルートに沿って筋肉が硬くなるのです。
(経絡について詳しくはこちらをご覧下さい 経絡とはどんなもの)
では胃腸の経絡とはどのあたりを流れているのでしょうか。ここでは胃の経絡と小腸の経絡を見てみましょう。
(注:図の経絡のルートは簡単のため一部省略しています)
胃の経絡(胃経) 出典:新版 経絡経穴概論 医道の日本社 2009年
胃の経絡は鎖骨のまわりを流れます。ちょうど先ほどの鎖骨を擦る運動でさわったところを通っています。
小腸の経絡(小腸経) 出典:新版 経絡経穴概論 医道の日本社 2009年
また小腸の経絡は肩甲骨のまわりを流れています。これらの図は線で描いていますが、実際の経絡は幅があり、肩甲骨全体の筋肉と関係を持ちます。
このように、胃の経絡は鎖骨のまわりを、小腸の経絡は肩甲骨のまわりを流れ、これらの筋肉と関係を持つのです。
胃腸の疲れから肩こりが起こる
先ほど書いたように、内臓が疲れるとその経絡に沿って筋肉が硬くなります。つまり、胃腸が疲れると鎖骨や肩甲骨のまわりの筋肉が硬くなり、肩こりにつながるのです。
まず胃の疲れについて見ていると、
- 胃が疲れている
- 胃の経絡の流れが悪くなる
- 鎖骨のまわりの筋肉が硬くなり、動きが悪くなる
- 肩こりになる
となります。小腸についても同じように、
- 小腸が疲れている
- 小腸の経絡の流れが悪くなる
- 肩甲骨のまわりの筋肉が硬くなり、動きが悪くなる
- 肩こりになる
ということが起こるのです。
このように見ていくと、胃腸の疲れから肩こりが起こる可能性があることが分かってきます。
肩こりを解消するには
肩こりを解消するにはどうすればいいでしょうか。次のような方法がよく知られています。
- マッサージ
- ストレッチや体操
- 暖める
これらでも十分効果はありますが、楽になってもすぐ元に戻ったり、ひどくなると効果が無い場合もあります。そういった肩こりには胃腸の疲れが隠れていることがあります。
そのような場合は、胃腸をいたわるようにしていくのが良いと思われます。
- 食事は時間をかけてゆっくり食べる
- 消化の悪いものは特によく噛んで(硬いもの、ナッツ類、餅など)
- 甘いもの、脂っこいものを控える
- ダラダラと食べ続けないようにする
- 添加物が多く含まれたものを避ける(インスタント、スナック菓子など)
- アルコールや刺激物を控える
このようなケアーをしていくことで肩こりは少しずつ解消していきます。とくにいつも肩こりで悩まされている方や、マッサージやストレッチをしてもすぐに元に戻ってしまう方で、心当たりがある場合は、普段の食生活を見直されると良いといい効果があると思われます。
まとめ
東洋医学で見ていくと肩こりの隠れた原因を見つけることができます。
- 肩こりの原因として「胃腸・心臓・肺の疲れ」がある
- 肩こりは鎖骨や肩甲骨の動きの悪さから引き起こされる
- 胃腸に負担がかかると、鎖骨と肩甲骨の動きが悪くなり、肩こりにつながる
- 胃腸が原因の肩こりは、食生活を見直すことで少しずつ楽になる
この記事では、胃腸の疲れから起こる肩こりについてまとめました。心臓と肺についてはまたまとめてみたいと思います。
肩こりというと、姿勢や血行の悪さだけが原因と思われがちです。でも同じような環境で働き、同じように姿勢が悪い人でも、全員が肩こりになるわけではありません。この差には、胃腸の疲れなどの隠れた原因があるのではないかと思います。
ずっと肩こりが続く、慢性的に肩が重いという方は、胃腸に負担がかかっていないかチェックしてみるとよいのではないでしょうか。
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