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東洋医学では体のいろいろな不調を取り除くために、「経絡(けいらく)」と呼ばれるものを使います。
この経絡を使った治療では、痛みや不調のあるところとは全く別のところに、鍼やお灸をしていくのです。
例えば、
- 胃の痛みには足に鍼をする
- 肩こりには腕に鍼をする
といった具合です。とても不思議な感じがします。
これは一体、何をやっているのでしょう。
経絡での治療はどんなことをしていますか
なぜ痛みの部分とは違うところへ処置をしていくのでしょうか。
それはこの方法で、痛みや不調の根元にある原因を取り除くことができるからです。
痛みや不調は内臓の働きの悪さから起こります
まず東洋医学では、痛みや不調はほとんどの場合、内臓の働きの悪さから引き起こされると考えます。
どういうことかというと、
私たちの体は、正気(体を動かすエネルギーの1つ)があることで、正しく動いています。(正気についてはこちらをご覧下さい 私たちの体を動かすエネルギー)
そして正気は内臓から全身へ配られています。(詳しくはこちらをご覧下さい 経絡とはどんなもの 経絡は何に使われるのですか)
つまり、内臓の働きが悪くなると、正気が全身に巡らず、さまざまな不調がでてくることになるのです。
このように内臓の働きの悪さから、体で起こるほとんどの不調が引き起こされていると考えられるのです。
内臓の調整に経絡を使います
ではこういった不調を取り除くにはどうすればいいのでしょうか。それは内臓の働きを正しくすればよいことになります。
そして、そのために経絡を使うことができるのです。
経絡には「内臓と深く関係を持つ」という特徴があります。(詳しくはこちらをご覧下さい 経絡とはどんなもの 経絡は何に使われるのですか)
経絡は内臓と全身をつなぐ、パイプのようなものなのです。
そして経絡の中には「気」が流れていますが、この流れを調整することで、内臓へアプローチすることができるのです。
この性質をうまく使うと、経絡を通して内臓の働きを調整することができます。
経絡を使って治療する
このように体で起こる痛みや不調は、その根元を探っていくと、内臓の働きの悪さから引き起こされています。
そして経絡を通してこれらを調整することができるのです。
こういった背景があり、東洋医学の治療では、痛みの部分ではなくそれと関係する経絡へ処置をしていくのです。
(注:東洋医学の治療にはさまざまな考え方があります。ここで書いた内容は最もベースとなる考え方で、実際の治療では違う考え方で行っていく場合もあります)
実際にはどんなことをしていきますか
ここからは、実際の治療ではどんなことをしていくかについて書いてみます。
例として、胃の痛みの治療を挙げてみます。
まず「どのようにして胃の痛みが出てきたか」については、シンプルに「胃の働きが悪くなったから」と考えます。
(参考としてこちらもご覧下さい 体の痛みや不調には段階があります)
そしてそれに対する治療は、胃につながる経絡に刺激を入れて、胃の働きを正しくしていきます。
胃につながる経絡としては、「胃経(いけい)」と呼ばれるものがあります。
胃経は、目の下から起こり、お腹を下って、足の人差し指まで流れていきます。
この図は体表に現れているルートだけを示していますが、実際は肩のあたりから別ルートが体の中に入り、胃につながっています。
図にはたくさんツボがありますが、多くの場合は、膝から下にあるツボを使って治療をします。
適切なツボへ、鍼を刺したり、お灸をしたり、指圧をしたりという処置をするのです。
すると経絡を通して胃に刺激が入り、胃の状態を正しく調整することができて、痛みが和らいでいきます。
もう一つ例を挙げてみます。今度は肩こりです。
肩こりの原因にはいろいろありますが、その中の一つに心臓の働きの悪さというものがあります。(参考としてこちらもご覧下さい 肩こりの原因 心臓の疲れからも起こります)
これについても、心臓の経絡である「心経(しんけい)」を使って、心臓の働きを調整します。
心経を見てみます。
心経は体の中、心臓から起こり(図には書いていませんが)、脇の下へ出て、手の小指に流れていきます。
そして実際の治療では、肘から先のツボがよく使われます。
適切なツボへ鍼や灸などの刺激をすることで、心臓の働きが調整されて、肩こりが解消されます。
経絡を使った治療ではこのように、胃の痛みと言っても、胃ではなく足へ処置をして、肩こりでも肩ではなく腕へ処置をしていくのです。
一見的外れのようですが、不調の根元をきちんととらえていますので、実際はこの方が治療効果が高くなるのです。
まとめ
経絡を使った治療についてみてきました。
- 痛みや不調の根本的な原因は、内臓の働きの悪さにある
- 経絡を通して内臓を調整することで、不調を取り除いていく
- 原因の根元をとらえているので効果が高い
経絡を使った治療では、痛みのところとは別のところへアプローチするという、不思議なことをやっていきます。
でも痛みや不調の起こりかたや、経絡と内臓の関係から見ていくと、シンプルで矛盾のない方法であることが分かります。
東洋医学でやっていることは不思議なことと思われがちですが、「経絡」や「正気」などについてきちんと理解すると、現実からかけ離れたものではなく、身近で分かりやすいものになります。
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