スポンサーリンク

東洋医学では、経絡(けいらく)と呼ばれる体を巡るルートをいろいろなことに使います。
何に使うのかというと、主に体の状態をとらえる診断と、体を調整する治療に使っていきます。
今回は診断についてまとめますが、では「経絡を使って診断をする」とはどういうことでしょうか。
なぜ診断に使えるのでしょう。
今回は、経絡を用いた診断について見ていきます。
経絡は診断に使えます
経絡がなぜ診断に使えるのかというと、それは経絡が内臓と関係を持つからです。
(経絡とこの後でてくる邪気について詳しくはこちらをご覧下さい 経絡とはどんなもの)
主な経絡は12本あり、これらはそれぞれ関係する内臓から起こっています。
そして経絡に流れる正気は、この内臓から送られてくるのです。
(正気についてはこちらをご覧下さい 私たちの体を動かすエネルギー)
つまり、経絡には、つながっている内臓の気の状態が現れるのです。
気の状態(正気があるかないか、邪気があるかないか、など)が分かれば、その内臓が正しく働いているのかが分かります。
全ての経絡を確認すると、体の状態を大まかにとらえることができるのです。
経絡での診断はどのように行いますか
体のほとんどの(脳なども含めておそらく全ての)内臓は、12本の経絡のどれかにつながっています。
ですので12本の経絡を調べると、ほとんど全ての内臓の状態を大まかに知ることができます。
実際の診察では、経絡が体表に出てくるところ(おもに手足)に触れて、経絡の状態を調べていきます。
どのようなことが分かるかというと、
- 正気が多い
- 正気が少ない
- 邪気がある(このとき正気は少なくなっています)
の3つの状態です。
まず「正気が多い」場合ですが、これは経絡がつながっている内臓が正しくうごいていることになります。
次の「正気が少ない」ですが、これは内臓の働きが低下していることになります。エネルギーが足りなくて、うまく動いていないのです。
これらは、主に内臓の働きについての情報となります。ただし一本の経絡につながる内臓は一つとは限りませんので、あくまでも大まかにとらえることになります。
最後の「邪気がある」ですが、まず邪気があるときは正気が少なくなっています。つまり内臓の働きが悪くなっているのです。
そして邪気がある場合は、働きを妨げる何かがあることを意味しています。
このとき何かがあるのは内臓に限りません。内臓から経絡を伝うルートの、どこかにあるのです。
そして働きを妨げる何かとは、例えば体に入っている冷えや、皮下にたまっている水分などがあります。
また皮膚や筋肉の傷や、場合によっては体の変形などの場合もあります。
体の変形としては、例えば、骨が変形して神経を圧迫していたり、消化器の粘膜が荒れて腫瘍ができていたり、などがあります。
こういった体の働きを妨げるものがどこかにあると、邪気がたまってくるのです。
このような3つの状態を経絡を通してとらえることができます。
つまり、これらを見ていくことで、内臓の働きや体に起こっている問題について大まかに知ることができるのです。
(注:実際には他の診断法と合わせて、もうすこし詳しい情報を探っていくことになります。経絡での診断はひとつの診断材料ということになります。)
補足として:東洋医学と西洋医学の診断について
ここまで読んで頂くと、なんとなく感じてもらえるかと思いますが、東洋医学の診断は正気や邪気などの気(エネルギー)の状態をとらえることを中心としています。
体の不調や病は、まずこういった気の状態に変化が現れ、体の働きが悪くなることから始まります。
そしてこれが長く続くと、徐々に体に変形が起きて病につながっていきます。そうなると体の働きはますます悪くなります。
(詳しくはこちらをご覧下さい 体の痛みや不調には段階があります)
東洋医学でとらえられるのは、体の働きですので、これら気の変化の段階と、体の変形の段階のどちらでもとらえていくことができます。
でも体の変形について「この部分がこんなふうになっている」という具体的なところは分かりにくのです。
一方西洋医学の診断では、最初の気の変化の段階はとらえにくいですが、体の変形の段階までいくととても頼りになります。どの臓器がどんなふうになっているか、細かく正確に知ることができるのです。
つまりどちらも、得意なところと苦手なところがあって、それぞれをうまく使っていくのがよいということになります。
このように、東洋医学の診断はおもに体の働きを見ており、体の変形については西洋医学の方が正確ということになります。
内臓だけでいいのですか
経絡の診断ではこのように、内臓を中心に見ていきますが、「内臓を見るだけで大丈夫?」という疑問がわいてくるかもしれません。
でも東洋医学の診断としては、これで大丈夫なのです。このことについて説明していきます。
まず内臓自体に不調がある場合は、「内臓を見ていく」のでいいと思います。これは、調子の悪いところを確認していることになります。
では内臓以外、例えば腰の痛みなどはどうでしょうか。
この場合も「内臓でOK」なのです。それは、内臓以外の不調が、どのようにして起こるのかを見ていくと分かります。
まず先ほど書いた通り、経絡の気の状態は内臓によって決まります。
内臓の調子が良ければ(正気がたくさんあれば)経絡にも正気が溢れていますし、内臓の働きが悪くなれば(正気が少なくなれば)経絡の正気が不足します。
そして経絡の正気が少なくなると、正気を十分に送れなくなり、その経絡が巡るところの正気も不足することになるのです。
すると体のいろいろなところで、痛みや不調がでてきます。(痛みの起こり方について詳しくはこちらをご覧下さい 体の痛みや不調には段階があります)
腰の痛みなどでも、その根元を探っていくと、内臓の働きが悪くなっていることが多くあるのです。
もう一度、実際に起こる順番で見ていくと、次のようになります。
- ある内臓の働きが悪くなる
- その内臓から起こる経絡の正気が少なくなる
- 経絡が通るところ(例えば腰)に十分な正気がやってこない
- 腰などに痛みがでる
このようなことが起こっているのです。
つまり内臓に限らず体で起こるほとんどの痛みや不調は、内臓の働きが悪くなったことから引き起こされていることが多いのです。
このようなことから、内臓を見ていくだけで、体の状態を大まかにとらえることができるということになるのです。
まとめ
経絡の使い方の一つについて、今回は「診断」を見てきました。
- 経絡は内臓と深く関係を持つので、診断に使っていくことができる
- 経絡を調べることで、内臓の働きを大まかにとらえることができる
- 内臓の状態を知ることで、体の状態をとらえることができる
このようにして経絡を診断に使っていきます。
東洋医学の診断法は、ほかにもいくつかあります。これらを合わせることで、総合的に体の状態を判断していくのです。
そして診断の次は治療です。治療でも経絡が活躍することになります。詳しくは後日まとめたいと思います。
この記事がなにかの参考になりましたら、投票をお願いいたします。
この記事もよく読まれています
スポンサーリンク