スポンサーリンク

今年も湿気の多い季節がやってきました。毎年のことですが憂鬱ですね。
ジメジメして気持ちがよくないし、疲れやすかったり、食欲もなくなったりします。
何より気分が晴れません。
でも湿度が高いと、どうしてこのようなことになるのでしょうか。
今回は、湿度が体に及ぼす影響や、梅雨時にどのように過ごせばいいかについて書いてみます。
湿度は体にどんな影響を与えますか
湿度が高くなると体にはどのような影響があるのでしょうか。まずはその辺りのことについて見てみます。
西洋医学で見ていくと
まず「湿度が高い」とはどんな状態かというと、「体のまわりの空気に多くの水分が含まれている」ということです。
空気中の水分が多くなるのでジメジメするのですね。
そしてそうなると水が蒸発しにくくなります。洗濯物がなかなか乾かなかったりするのです。
この状態が体にとってどんな影響があるのかというと、「不感蒸散(ふかんじょうさん)しにくくなる」「汗が乾きにくくなる」の2つが挙げられます。
不感蒸散とは、私たちの皮膚や気道(口や鼻)から空気中に蒸発していく水分(水蒸気)のことで、特に意識しなくても一日に約1リットルの水が発散していきます。
ところが、湿度が上がると水分が蒸発しませんので、これがうまく行かずに水分が体に溜まりやすくなります。
皮膚の下に溜まると、浮腫(むくみ)になります。むくみやすい方は注意が必要です。
血液中に溜まれば高血圧につながります。ですが体は尿量を増やして対応するので、それほど大きな問題にはならないと思います。
それよりも問題なのは、汗が乾きにくいことです。
ご存知の通り、汗は上がりすぎた体温を下げる働きがあります。
体を冷やす働きの中では主役級であり、とくに気温が高くなるとほとんど汗による放熱に頼ることになります。
ところが気温が高い日に、加えて湿度も上がってくると、かいた汗が乾きにくくなくなって体温を下げることができなくなるのです。
私たちの体は、体温が一定の状態で正しく動くようになっていますので、こういった体温の変動によっていろいろな不具合が起こるようになります。
よく見られるのは、疲れやすい、体がだるい、やる気が出ない、食欲がなくなる、などです。
確かに梅雨時には、元気が出なかったり食欲がなくなったりしますよね。それにはこういった訳があったのです。
東洋医学で見るとこんなことが起こっています
湿度が体に与える影響が少し分かってきました。
ここでもうちょっと考えてみますと、梅雨時には体がだるかったり調子が出なかったりしますが、先ほど書いたように、「上がった体温が下がらない」、というほどひどい状態になるのはまれなように感じます。
銭湯や温泉施設の浴室などに長くいると、このような状態になりますよね。暑い水の鎧を着ているような感じです。
実際にそれくらい気温や湿度が高い日もありますが、毎日そんな日々が続くわけでもありません。
では、そこまで高温多湿ではないのに体調が悪くなるのはどうしてでしょうか。
こういった環境のちょっとした変化が体に与える影響については、東洋医学の方が参考になったりします。
まず湿度が高いということについては、東洋医学でも空気中の水分が多くなっていると考えます。
そしてそれは体にとってどうかというと、水っぽい性質のものに包まれたような、水の壁が体のまわりにあるような状態ととらえるのです。
すると、体のまわりを包んでいる「衛気(えき)」という気が傷つきやすくなるのです。
東洋医学では体のまわりには気のバリア(衛気を呼びます)のようなものがあり、暑さや寒さ、乾燥や湿気から体を守っていると考えます。
(感覚を磨くと、体のまわりに衛気があるのを感じることができます)
衛気があることで風邪を引きにくくなったり、暑さ寒さを我慢できるのです。
よくお年寄りが「暑さ寒さがこたえる」といいますが、これは年齢を重ねて衛気が弱くなっているためです。
また若い人でも、寝ている時は衛気がしぼんで小さくなります。布団をかけずに寝ると風邪を引きやすくなるのはこのためなのです。
少し話がそれました。元に戻して、体のまわりには衛気というバリアがあり、湿気が高くなるとこれが傷つきやすくなります。
そしてこの影響をよく受けるのは、肺や消化器と考えられています。肺や消化器の正気(せいき:私たちの体を動かすエネルギー)が少なくなって、働きが悪くなるのです。
湿度が高いと息苦しく感じるという方も時々おられます。これは肺の働きが悪くなっているためなのです。
また消化器が動かないと食欲がなくなりますし、栄養素を吸収しにくくなるので、元気が出なかったり、疲れやすくなったりします。
このように、「湿気も気温も高くて、体が熱くてしょうがない…」という状態になる前でも、体には負担がかかっていて体調を崩しやすくなっているのですね。
梅雨時の体調の悪さは、この辺りに原因があるようです。
梅雨時にはこんなことに気をつけましょう
湿気と体の関係が分かってきました。では、湿度の高い季節にはどのようなことに気をつけたら良いでしょうか。
首や脇を冷やす
湿度だけでなく気温も高くなり、体温が下がらず体が熱くなって苦しいときには、保冷剤をタオルやバンダナなどで包み、首に巻き付けます。保冷剤が喉の左右の動脈のところに当たるようにします。
こうすると血液を直接冷やすことができるので、汗に頼らなくても体温を下げることができます。
同じように脇の下に保冷剤をあててもOKです。またアイスノンもお勧めです。適度に柔らかくて使いやすいと思います。
ただし冷え過ぎには注意です。体調をよく確認しながら、当てたり外したりして調整しましょう。
汗はすぐに拭き取る
汗をかいた場合にはすぐに拭き取るようにしましょう。なぜならば、湿度が高いと汗がなかなか乾かないため、段々と冷たくなり体が冷えてしまうからです。
そのままにしておくと、簡単に風邪を引いてしまいます。
体の中は熱いのに表面は冷えているという、とてもややこしい状態になって、体への負担がとても大きくなるのです。
汗をかいたらなるべく早く拭き取るようにしましょう。服が濡れた場合は、めんどくさがらずにその度に着替えるのがおすすめです。
お腹をいたわる
湿度が高くなると消化器の働きが悪くなります。こういった時は消化しやすいものを取るように心がけましょう。
このとき正気を多く含んだものを選ぶようにすることが大切です。(エネルギー(正気)を増やす食事とは)
また体が熱くなっているからといって、冷たい飲み物やアイスクリームなど冷えたものを取るのはよくありません。消化器に余計な負担をかけるため、ますます体調が悪くなることが考えられます。
温かく、消化によく、正気を多く含むものを取るようにしましょう。
エアコンを使う
正直なところ、これが一番効果的だと思います。普段室内にいるのであれば、エアコンを使って温度と湿度を整えましょう。
この時、体が冷えないようにするため、室温が低くなりすぎないように気をつけましょう。なるべく肌を露出しないように、羽織るものやパンツ系の服装を選ぶとよいと思います。
そもそも湿度が高くなければ、体に余計な負担がかからないのです。これに勝る方法はありませんので、迷わずエアコンを使いましょう。
余りおすすめできないこと
ここからは逆に、あまりやらない方がいいと思うことも書いておきます。ここには、一般的にはやった方がいいと考えられていることも含まれているかもしれません。あくまでも当院の考えであることをお断りしておきます。
まず、「発汗を促す食べ物」です。唐辛子やカレー粉などです。
そもそも汗をかいても乾きにくいことが問題なのですから、余計に汗をかくことには余り意味がないと思います。
また汗をかくという体の働きは意外と多くの正気を消耗します。正気を無駄遣いすることになりますので、あまりお勧めできません。
また、「半身浴」や「長風呂」もよくないように思います。体に熱がこもりやすい状態なのですから、外から熱を加えることは避けた方がいいように思います。
湿気が高いということは、体のまわりに水分が多い状態です。そのために体調を崩しているわけですから、あえて長い時間お風呂に浸かる必要はないはずです。
ただ、お湯につかって体表の冷えを取り、体の循環を良くすることには意味があると思います。お風呂はさっと入って、さっと出るようにするとよいと思います。
まとめ
今回は湿気と体の関係や、梅雨時にどのように過ごして行けばいいかについて書いてきました。
- 湿度が高くなると体に水分が溜まりやすくなる
- 加えて気温が上がると体温が下がりにくくなる
- 東洋医学では、湿度によって肺や消化器の働きが悪くなると考える
- 首や脇を冷やす、汗を拭き取る、食事に気をつける、エアコンを使う、などの対処法がある
- 発汗を促す食べ物や、半身浴はお勧めできない
ジメジメした梅雨時、この時期に体調を崩すという方も多いのではないでしょうか。
今回の内容を参考にしていただき、梅雨時を元気に過ごして下さい。
この記事がなにかの参考になりましたら、投票をお願いいたします。
この記事もよく読まれています
スポンサーリンク